ダンデリオン*リング ~真心の愛~
「ごめんね、亜美ちゃん。
 私、何だか泣いちゃって・・・。
 もう、急がないとHR始まっちゃうね」

由香の顔には薄っすらと涙の後があった。

無理して笑顔で、私に話しかけてくれる。

由香、なぜ泣いていたの?
別れってそんなに苦しくて、悲しい物なの?

由香にとって、『別れ』という言葉は、
タブーだとこの時思った。

「うんうん、気にしてないから。 
 由香、大丈夫?
 私さっき、悪いこと言っちゃたかな?」

由香は首を横に振った。

「違うの。
 ちょっと、昔のこと思い出しちゃって。
 雨のせいかな?私も泣いちゃって・・・。
 雨と一緒かな」

ごしごし、と涙目を拭いて、
私はいつもの私に戻った。
そう、自分に言い聞かせた。

「教室に行こう。亜美ちゃん!」

「ほら、手。繋いで行こうか!」

「うん!」


二人で急いで廊下を走った。

悲しい気持ちは残っているけど、

今はあなたが傍に居てくれる。

みんなも一緒だから。

寂しい気持ちは、少しだけになった。


くよくよしてても、

始まらないから。
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