キミ ガ スキ

思い出*1*


小村くんが向かった先――
それは―――……。


「やっぱり……この[しだれざくら]だろ♪」

―桜ってどこにもあるんじゃ……。
………まぁ…いっか!


『ここでなにするの?』
ちょっと不安になって聞いてみた。

「んっ?写真を撮るの!!」

『ってか、桜ってどこにもあるんじゃ……』

軽く笑いつつ……
「いいんだよ♪だってさ……この桜はここにしかないじゃん♪♪ここにしかない咲かないじゃん!だから。」
その声ははっきりとした声だった。

『そっか……』
わたしは感心した。
だって小村くんがそんなことを思って撮ろうとしてたなんて思いもしなかったのだから。


(サァ………)
風が吹いた。
暖かく心地よい風……
あぁ……このまま時間が止まればいいのに…………。

「……ぅしっ♪!さてい…」
ふいに小村くんがなにかに気づいた。

『んっ??どーし…「ふふっ♪お前の頭に桜の花びらついてるぞ!!」

『えっ!?どこどこ??』
わたしは恥ずかしくなりあわてて探し始めた。


……が、それを止められた


見ると小村くんに腕を捕まれた状態になっていた。


『こむ…「いいじゃん♪かわいいし似合ってるよ♪♪」

『えっ…?小…村……くん?』


「んっ………??あっ!!」
気づいたようにあわてて顔を隠し後ろを向いてしまった。
その行動がわたしを愛しくさせる。ドキドキさせる。


こっちを向いてほしい。
こっちを向いてもう一回だけ聞きたい。


(ゴクッ…)
『小村くん………』
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