Cigarette Choco -曖昧な関係-
「だぃ…じょぶ…です」
溢れそうになる涙を我慢しながら言った。
声が震える。
それはきっと寒さのせい。
「大丈夫じゃないよな」
彼が何か言ってる声がお経のようにぶつぶつと、耳に入ってくる。
私はただそんな彼をぼーっと見つめた。
何か思いついたように顔を輝かせると、黒い皮の高そうなバッグを開けてゴソゴソし始めた彼。
「……っ!?」
ふわっとお日様干ししたいい香り。
頭にかかるブルーのふわふわした、さわり心地のいいタオル。
「…俺のとこおいで? 風邪引くだろ?」
そう優しい声で囁く彼に、ずぶ濡れの髪を拭かれる。
はたから見れば、援助交際待ちの女子高生だろう。
それでも偏見の目もくれず……
足を止めてくれた、きっと優しい彼。