Cigarette Choco -曖昧な関係-



「だぃ…じょぶ…です」



溢れそうになる涙を我慢しながら言った。

声が震える。


それはきっと寒さのせい。



「大丈夫じゃないよな」



彼が何か言ってる声がお経のようにぶつぶつと、耳に入ってくる。

私はただそんな彼をぼーっと見つめた。


何か思いついたように顔を輝かせると、黒い皮の高そうなバッグを開けてゴソゴソし始めた彼。



「……っ!?」



ふわっとお日様干ししたいい香り。


頭にかかるブルーのふわふわした、さわり心地のいいタオル。



「…俺のとこおいで? 風邪引くだろ?」




そう優しい声で囁く彼に、ずぶ濡れの髪を拭かれる。



はたから見れば、援助交際待ちの女子高生だろう。



それでも偏見の目もくれず……

足を止めてくれた、きっと優しい彼。




< 10 / 184 >

この作品をシェア

pagetop