Cigarette Choco -曖昧な関係-
「楓ー?電話しちゃったっ」
電話越しに聞こえる佐奈のキンキンとした甲高い声。
愛おしかった彼女の声も苛立ちの元にしかならない。
「あぁ…うん、」
「あれー、なんか不機嫌ね?もしかして寝起きー?」
クスクスと小さな彼女の笑いとともに、
心の中に芽生えた罪悪感。
「ん、まーね」
「早く楓に会いたい……」
「うん、俺も」
一見普通のラブラブ夫婦の会話だろう。
でも、陽菜の顔がいつまで立っても離れない。
俺のそっけない返答に、
だんだんと無言な気まずい時間が増えてきた。
もう寝る、そういいかけたと同時に佐奈が話し始める。