Cigarette Choco -曖昧な関係-
▼Cigarette Choco
あれから家まで泣いて帰った。
涙が伝った頬が寒さにより冷たくなって、
楓の温もりは一瞬にして儚く消えてしまう。
それが怖くて、嫌で……
マフラーに頬を埋めてみたけれど効果はなかった。
「楓……」
真っ暗な闇が広がる空に、ポツリと消えた彼の名前。
また涙が溢れる。
止まらない、止まるはずない。
無心で歩き続けて、気がつくともう家の前。
カーテンの向こうからは柔らかな暖かい光が漏れていて、
胸がズキリと痛んだ。
私はココに入っていいのかな?
必要とされてるのかな?
寒さからか、怖さからか……
ガクガクと崩れそうな膝に力を入れて、玄関のドアノブを手にした。