Cigarette Choco -曖昧な関係-
ガチャリ…
予想以上に大きな音がなり、
リビングから漏れていた楽しそうな笑い声がピタリとやんだ。
スライド式のドアがすーっと心地いい音を出しながら開けられ、
その奥に立っていたのはお母さん。
「陽菜……」
「お、お母さ……ん」
私の顔を見たとたん、お母さんの表情は一瞬で豹変した。
映画のシーンが切り替わるよりも早く。
「どこ行ってたの、馬鹿! どれだけ心配したと思ってんの!」
殴られる、そう思ってグッと目をキツク閉じた。
でもそんな痛さなんかいつまでたっても感じなくて…
その代わりに、
お母さんの温もりがあたしを包み込む。
「お、おか……あさん?」