Cigarette Choco -曖昧な関係-
偶然の出会い
「か……えで…」
ジ ャ ー ン
と鈍い不協和音を響かせるギター。
その音に立ち止まる、男性。
「陽菜…?」
彼は……
彼は大きく目を見開きながら、
懐かしい、変わらない声色で私の名を呼んだ。
「楓……何でここに…」
「今日、一日出張だったんだ。今から帰るとこ」
にこっと笑みを浮かべる楓。
『何もかも変わってしまった。』
そう思っていたのに……
変わらない彼の仕草に笑顔に胸が痛む。
「そう、なんだ…お疲れ様」
「ん、ありがとう」
動揺を隠せない私を見てクスクスと静かに笑う楓との距離だけは…
変わった気がする。
彼の笑み一つ一つが、遠くて……
星を見ているよう。