ありがちな恋
時計の針が7時を指すころ。俺は今愛奈の家の
リビングにいる。このにおいからいって今日でて
くるのは肉じゃがだろう。俺の好きな料理だから
ちょっとウキウキしてきた。腹の虫も活発に鳴っている。

「はい、おまたせ。お兄ちゃん!今日は肉じゃがで~す」

「においで分かってたよ。それより早く食べようぜ。
腹が減って仕方がないんだ。飯だ飯!」

おばさんが呆れたように俺に

「ほんと健くんはせっかちな上に、食い意地張ってるんだから」

長い付き合いだと遠慮なんかはそっちのけで会話が進んでしまう

「おばさん。最近しわが増えたんでないの?」

こんなことも言えちゃう。こんなことではおばさんは怒らない。
というか怒ったことがないよな、この人。だから愛奈がこんな
ワガママに育ったんだろうな。

「お兄ちゃん!なんか失礼なこと考えてない?怒るよ!!」

「そ、そんなことないぞ。おばさんがいい人だなって思って
たんだよ。」

あわてて弁解する。

「本当~?まあ、いいから食べよ。ていうか食べて!」

「あ、ああ。じゃあいただきます」

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