ありがちな恋
飯を食ったあとは愛奈の部屋でごろごろしていた。
最近の少女マンガは過激だな。これはちょいと
やばいんでないの?そんなことを思っていると
愛奈がお茶をもってきてくれた。

「お兄ちゃん。はい、お茶。あったかいのでよかったよね?」

さすが愛奈。俺のことをちゃんとわかってるな。
これぞ幼馴染クオリティー。

「おお、サンキュ」

「別にいいよ~」

愛奈はベッドに転がって雑誌を眺めている。
・・・そんなことより真実を確かめにゃいかんな。
通報により今日の料理は被告人愛奈が作ったらしい。
その真意を確かめなければ。

「なあ、愛奈。おもしろいことやろうぜ」

「なにするの?お兄ちゃん」

「そうだな。裁判所ごっこだ。俺が検事でお前が被告人」

「え、なにそれ。おもしろそう!やるやる」

ふ、バカめ。おまえは裁かれる側なんだよ。

「じゃあはじめるぞ。議題は今日の晩御飯についてだ。
うそはなしだぞ」

「う、うん」

「よし、最初はそうだな。今日俺が家に来たときエプロンを
なぜ着てたんだ?」

「そ、それはふ、服がなかったから」

「ほほう。それはうそ偽りないんだな?」

愛奈は挙動不審だ。

「うん。そうだよ!神に誓う」

ずいぶんと安い神だこと。長引かせても
おもしろくないからそろそろとどめを指すか。

「実はな愛奈。司法取引で愛奈の協力者から
情報を提供してもらってんだ。既に割れてるんだよ」

「え!?お母さんめ。あれほど言わないでって言ったのに!」

「よし罪を認めたな。ということで罪状を言い渡す」

「いやだ~」

「ありがとうな、愛奈」

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