ありがちな恋
愛奈はえ?といいながら動揺した顔をしている。
うまくいったな。

「だから、ありがとう。お礼のためとはいえわざわざ
料理の勉強したんだろ?俺、家庭教師した甲斐があるって
もんだよ」

「あ?あ、うん!うん!私頑張った!すごい頑張った!」

「これでもしお前に彼氏が出来たとしても、胃袋もつかめるな!」

「う、うん。そうだね。・・・お兄ちゃんが喜んでくれればそれでいいのに」

最後のほうが声が小さくて聞きとれん。まあいいか。
というかそろそろ帰って勉強でもするか。

「愛奈、俺帰るわ。学力テストが近いしな」

「ええ、もうちょっといてよ。久しぶりにたくさんしゃべろうよ」

なんで今にも泣きそうなんだ。そういえばこんなとき
ガキの頃なんかしたらすぐに泣き病んだ気がする。
何だったけ?思い出せない。

「ワガママ言わない。ていうか今回のテストに俺の
お小遣い昇格がかかってるんだよ。だから少しでも
点あげんといけんのよ。また今度話してやるから」

「うぅ、ならいいよ。お兄ちゃんなんか早く帰っちゃえ」

愛奈がすねる。これでもかというくらいすねる。嫌味を
言うくらいすねてる。なんでこいつは俺にべったりなのかね。

「そろそろお兄ちゃん離れしなさい。そんじゃな」

そうして俺は愛奈家を後にした。

< 14 / 197 >

この作品をシェア

pagetop