ありがちな恋
「将来のお嫁さんが何でダダこねてんだよ。
聞き分けの悪い子とは結婚したくないな」

「え?…それって」

愛奈がえ?という顔をする。

「こういうとお前はすぐ泣きやんで
ダダこねるのやめたよな。懐かしいな」

最初にこの言葉を言ったときも
こんな夕陽の中だったと思う。

「覚えて…たんだ」

「あの時は恥ずかしげもなくあんなこと
言えてたんだからびっくりだ」

「で、でも!私はうれしかったよ?」

「俺なんかと結婚してもいいことないぞ」

俺は笑いとばしてやる。
所詮はガキの頃の口約束だしな。
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