ありがちな恋
本当に可愛げのない奴。

あーだこーだ言ってる間についた屋上。
こんなに晴れているのにそこには人一人いなかった。
多分、まだちょっと肌寒いからだろう。
それでもココから見る町の眺めは結構いい。
ご飯もいつもの2割り増しくらいおいしくなる。

「はやく食べようぜ。ちょっと寒いけど」

寒いと感じるといつも思う。女子高生はかわいそうだなと。
なにせスカートなのだ。しかも短くしてるときた。
寒いのになんで短くするんだろうと男の俺はいつも
思う。

「先輩。二人きりだからお兄ちゃんでいい?
なんかこの呼び方なれないんだ」

俺の顔を疑うように愛奈は問いかけてくる。
まあ、他に誰もいないしいいか。

「まあ、いいけど」

「やった!」

俺は購買で買ったコーヒー牛乳を飲みながら答える。

「ここからの景色はすごいね、お兄ちゃん。
この町って結構広かったんだね!」

「そうだな。遠くからみないと分からないこともあるからな。
俺らいつも近くからっていうか下からしか見てなかったもんな
この町のこと」

愛奈は顔の表情がコロコロ変わる
楽しそうにしていた顔が悲しそうに変わった。
その真意は俺には分からない。

「・・・そうだね。近すぎて分からないかぁ」

?どういう意味か分からない。聞き返そうとしてみると

「そんなことよりこのハンバーグ食べてみてよ!
私作ってみたんだ!お兄ちゃんもハンバーグ好きでしょ?」

「あ、ああ。うまそうだな」

愛奈が作ったというハンバーグを口に入れて噛んで食べる。
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