ありがちな恋
屋上につくなり空はうれしそうな
顔をした。肩までかかっている髪が
風に揺れている。

「すごい景色だね。あ!あそこ、あそこ!
よく遊んだ公園だよね!?懐かしいな~」

「お?おお。そうだな。そういえば夏休みに
あそこで遊んでいたとき、頭にセミの死骸が
降ってきて、お前ギャアギャア泣いてたよな」

「な!なんで、そんなこと覚えてるのよ!!」

別にいいだろ。

「本当におもしろかったな。あの夏休みは」

夏休みが終って二学期に入る前に空は隣の
県に引っ越したのだ。

「……そうだったね。ふふ、本当に懐かしい」

この後も最後の夏休みのことを思い出しながら
楽しくしゃべった。
< 71 / 197 >

この作品をシェア

pagetop