侵す領域、笑うキミ。
―――先月末、バスケ部の彼氏を待つために図書館へ向かった。

「暇なんでしょ?襲ったりしないからさ、話し相手になってよ」

私と彼しかいない空間で、低い声はよく通る。

金曜日は本来閉館している図書館だが、図書委員長の彼によって密かに開いていた。

偶然あの日は鍵を掛け忘れたらしい。

彼の真意は解らないが、夕日に照らされた彼があまりにも綺麗で、気付けば首を縦に振っていた。

一目見たときから彼に惹かれていた気がする。

だって図書館に入るたび、私の心臓はバカみたいに煩くなる。
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