コエとナミダとオモイデと。

お父さんは言う。


「子守唄を歌ってあげよう。きっと、ミなくなるよ」


そんなはずない。

だって、お母さんに何回も歌ってもらったもの。



隣のおばあさんは言う。

「それを受け入れてみなさい。きっと、辛い夢から楽しい夢へと変わるよ」


そんなはずない。

だって、受け入れてもみんなが死ぬことが楽しくなるはずないもの。


おじいちゃんは言う。

「記憶を、違うもので埋め尽くしてみなさい。きっと、見えなくなるはずだ」


そんなことあるのかしら。

でも、学校でたくさん勉強しても消えることはなかったわ。
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