愛の紅し【極短】
咲いた紅い花に、君は満足そうに微笑んで私のブラウスを直した。
そして私もまた背の高い君の首に手を回し、Tシャツの襟から覗く左の鎖骨の下に
紅い花を散らす
名残惜しげに離れる私の頭を数回なでて、君は頬にキスして去っていった。
3日おきにおこるこの儀式は
物言わぬ彼の静かで激しい
愛の形
束縛と言う名の
愛の約束
『愛してる』
『大好き』
そんな愛の言葉は私達には似合わない
『私のもの、だよ?』
『俺のもの、だろ?』
『君のもの、だから』
『おまえのもの、だから』
愛で縛る
愛が縛る
紅が縛る
紅で縛る
それが私達の
愛の証
-END-