駆ける…キミト共に
「あーあ。みっともない…ほら、ハンカチ」

と言って、真っ黒のハンカチを押し付けて来た。

「いえ、汚してしまいます」

「構わねぇよ。逆に、そんなんで署に行かれたら、俺らまで笑われちまう」

「はぁ…ですが、私は怪我等してません。
ですから、この血はきっと…あの子ので…」

「はぁ?
何言ってんだよ?
俺が言ってるのはねぇ、鼻水垂らして、いつまでも泣いて
たら、みっともないって事ですよぉ。」

「そんな…泣いてなんて―――」

涙が……自分の膝に滴り落ちていた。
一粒、一粒…
優しく…優しく。
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