駆ける…キミト共に
そこに鞄を置き捨て、ソファーに深く腰掛けた。

「あら、お帰りなさい」
涼子がエプロン姿のまま、先程投げ捨てた鞄を掲げて
戻って来る。

「酒だ」

「手…洗った方が良くないかしら…
風邪でも引いたら大変よ?」

そんな気遣いが、無性に嫌だった。
卓は、自分が下手に見られているのが
…たまらなく嫌だった。

「うるせぇ!俺の気持ちの一つでも理解してんのか!」
…多分。怒鳴ってみたかったのだと思う。

「あなた…隣…」
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