駆ける…キミト共に
城山は、小さな借りアパートの駐車場に車を止め

階段を、ゆっくりと上がって
古びて、錆び付いたドアノブを回した。

「ただいま…」
と言っても返事は来ない。

本当なら、ここには涼子と息子がいるはずだった。

だが、ある日…何もかもを失った。

今でも思い出したく無かった。あの、最後の留守番電話を…

「私は…少しの間、ここから出て行きます。決して、あなたの事が嫌いになった訳じゃ ありませんの…私の我が儘を…どうか、どうか、
お許し下さい」
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