駆ける…キミト共に
が、そんな時も
束の間であった。

深夜、卓が帰ると
中から
懐かしい匂いがした。
自分が、ずっと好きで
あの日手放してしまった匂い。

「お帰りなさい」

涼子が、目の前まで走って来て
立っていた。

鍵は、恐らく本体のを使ったのだろう。
自分は今でもスペアを使い続けている。

初めは、住人から噂の的だったが
今はそんな事も無い。

しかし、それ以前に
卓は驚いていた。

「涼子…」
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