駆ける…キミト共に
しかし、それを調べる事は出来ないと思った。

この現実、今生きている全てを
自分に受け止められる勇気が無かった。

卓のもやもやした、胸焼けに似たそれは
一筋の滴となって滴り落ちた。
家にも入らず、ドアノブに手を掛けたまま…泣いていた。

「本当、よく泣くよな…俺…」
と言いながら
光の源が、手を伝わって
塗り立てのドアノブに掛かった。

ドアノブは、泣いている様に その滴りを独りで続けていた。
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