海の見える城

夕方になりレティシアは食事をするために部屋を出た。


「あの人は…?」


自分の部屋の隣のドアを見ながら、リーナに訊ねる。


「アルベルト様ですか?もう先に行かれましたよ。」

「…そう。」


食事はアルベルトと一緒どころか、王や王妃、そしてその家族らと一緒に交えなければいけないらしい。


食欲なんて出るわけないと、思った。


それでも一応今日からアルベルトと正式な関係になったため、ここの国の決まりには従わなければいけない。


重い足取りでリーナの後をついて行く。


まだこの城の構造が分からないが、レッドラインの城より明らかに広く下手したら迷ってしまいそうだ。


しばらくは一人で出歩かない方がいいだろう。


長い回廊を歩いた先に、大きな扉が見えた。


「あの扉の向こうで皆様がお待ちですよ。」


そう言ったリーナに頷き、レティシアはその扉の向こう側に足を踏み入れた。






「やっと来たか。」


アルベルトは部屋に入ってきたレティシアを見て、そう呟いた。


王や王妃たちもすでに席に着いており、その者たちの視線が全てレティシアに向けられていた。


「遅れてしまい申し訳ございません。」


レティシアはそう謝り、自分の席に座った。


微妙な雰囲気の中、皆食事をし始める。


予想通りの居心地の悪さにレティシアの食はなかなか進まなかった。


隣に座るアルベルトは何も気にすることなく、食事している。


今度は周りを見てみる。


王に王妃…そしてアルベルトの弟の第二王子。


確かその王子はレックスという名だったはずだとレティシアは思い出す。


< 11 / 30 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop