海の見える城
レティシアはベッドから降り寝室から出て行った。
バタンとレティシアの部屋に繋がるドアを閉め、荒い息を抑えようと深く深呼吸をした。
「もう嫌だ…。」
ズルズルとそこに座り込んだ。
レティシアは朝までそのまま一睡もせずに過ごしたのだった。
゚*。†。*゚
朝になり、リーナはレティシアの部屋の前に来ていた。
「レティシア様、入りますよー!」
きっとレティシアは寝室にいるだろうと思い、一応一声掛けて返事を聞かずに部屋に入った。
…が。
「え…レティシア様?」
部屋の主がそこにいた。
寝室に繋がるドアの前で座り込み、顔を俯かせていた。
「ど、どうしたのですか!?どこか具合が悪いのですか?」
慌ててレティシアの元へ駆け寄っていくリーナ。
と、その時リーナが入ってきた部屋の入り口からアルベルトが姿を現した。
「アルベルト様…レティシア様が…!」
何も知らないリーナはアルベルトに助けを求めようとしたが、アルベルトはある物を出した。
あの果物ナイフだった。
「あ…それは…」
「妻が持っていた。俺をこれで殺すつもりだったらしい。」
それを聞いて、リーナは顔を青くした。
「まさか…レティシア様が…そんな…」
「リーナ、お前も刃物の管理はしっかりやっておけ。今回だけは見逃してやる。」
震えるリーナにナイフを渡し、レティシアに視線を向けた。