海の見える城
「パーティーの招待状だ。夫婦で来てほしいそうだ。」
そう口にしたアルベルトは、リーナの方に目を向ける。
「パーティーは一週間後だ。それまで準備しておけ。」
「は、はい!」
そのまま部屋から出ようとするアルベルトにレティシアは慌てて呼び止めた。
「ちょっと!私は参加するなんて一言も言ってないわよ!」
「…あちらが2人で来いと言ってるんだ。行かないわけにもいかないだろう。」
「だからって…」
「無理矢理にでも連れて行くからな。」
最後にそう言い、アルベルトは部屋を出て行ってしまった。
「何なのよ…。」
急に現れてすぐ去っていく自分の夫に、ますます怒りが込み上げてくる。
いつも勝手に物事を決めていく。
自分の意見も聞いてくれない…。
レティシアは、唇を噛み締めながら、封筒の中からパーティーの内容が書いてある紙を見た。
「…舞踏会?」
間違いなくそう書いてある。
「あら、いいじゃないですか!」
リーナは嬉しそうに声を上げた。
が、レティシアはさらに表情が怒りに満ちたものになった。
「なんで私がっ!?」
「レティシア様、そんな怒らなくても…。あ…まさか踊れないとか…」
「踊れるわよ!だけど、何であの男と一緒に参加しないといけないのよ!?夫婦だからって、きっとあの男と踊らされるわ!」
ぐしゃりと招待状を握りつぶしたレティシアをリーナは憐れむように眺めていた。
「でも…いい機会じゃないですか?アルベルト様をもっと知ることが出来ると思いますし…。」
「知りたくないわよ。あんな男のことなんて。」