海の見える城
式当日。
天気は嫌になるほどの快晴で暑いくらいの太陽が照らしていた。
「ご結婚おめでとうございます!」
「お二人ともお似合いだわ。」
「あの方は敵国の姫だったんだろう?」
国民の様々な声が聞こえてくる。
殆どの民はアルベルトとレティシアの結婚に祝いの言葉を贈っていた。
だが、やはりレティシアは気が重く、この場に立っているだけでも辛かった。
隣にいるアルベルトは何ともないような顔をして、国民たちを見下ろしている。
と、レティシアはアルベルトの目と合ってしまった。
「…少しくらい笑え。一応、めでたい日なのだから。」
「…貴方だって笑ってないでしょう?全然めでたそうに見えないわ…。」
アルベルトの言葉に言い返したレティシアは、視線を外した。
隣でアルベルトが忌々しそうな顔をしているのが、見なくても分かった。
式が終わるとレティシアはさっさと部屋に戻ろうとする。
するといきなり腕を掴まれた。
「な…」
「お前の部屋は移動された。ついて来い。」
腕を掴んだのはアルベルトで、その顔を見てレティシアは思わず怯えてしまった。
あの夢を思い出してしまう…。
そんなレティシアを気にせず、アルベルトは腕を引っ張り連れていく。
「お前の部屋は俺の部屋の隣になる。」
アルベルトの隣の部屋になると聞いて、レティシアは気が重くなった。
その部屋に着き、アルベルトはドアを開く。
きっとまた暗くてじめじめした居心地の悪い部屋だろうと思っていたレティシアだったが、その部屋を見て目を見張った。
レティシアが考えていた部屋とは遠く懸け離れた部屋だった。