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『悪かったな…、なんか。』
トボトボと2人で並んで歩いている道。
一郎が私に謝った。
あのあと、一郎は田中くんに会ってきちんと謝った。
心の傷は消えないかもしれない、けど今は幸せだから、もう…と言っていた。
「…そんなの、私ついて行っただけでしょ。」
私なんかより、おそらくまだ忘れきられてないのに、そう言ってくれた田中くんに感謝しなければならないと思う。
『けど、俺一人だったら、結局謝れないままだったかもしんねーしさ。』
一郎は、ちょっと悔しそうな顔をして言う。
『…あーあ。なんでだろ。たぶん些細な理由だったんだろうな。俺が田中のこと…いじめだしたの。』
今になっちゃ、思いだせねーんだ。ひでーだろ?
地面に落ちている石ころを蹴りながら、寂しそうな表情で言う一郎。
私はなんて言っていいのかもわからない。