いいから私の婿になれ
中心街の端から端まで歩いた。

なかなかお眼鏡に適うネットカフェは見つからない。

「最悪や…ホンマ最悪や…」

物凄く嫌な顔をして繰り返す真琴。

「いいじゃねぇか、ネットカフェなんてどこでも」

「お前みたいなネトゲ廃人が通うてるような店に入れるか!ビョーキがうつる!なんべんも言わすなハゲ!」

「ハゲてねぇし…」

血相変えてまくし立てられ、流石に黎児も少し申し訳ない気分になってくる。

「ネットだけしたいんなら、ウチに来るか?部屋汚いのが気にいらねぇってんなら、少しは掃除もするし」

「え?」

黎児の意外な申し出に、真琴はキョトンとする。

先程の売り言葉買い言葉と違い、黎児は真摯に申し出てくれているようだった。

「いや…ええわ」

「何だよ、遠慮すんな。行きつけのネットカフェ出禁になったのは、俺にも責任あるからな」

「や、ほいでも…お邪魔したら悪いさかいに…」

「何言ってんだ、女みたいに。男友達が部屋に来るのなんて気兼ねなんかしねぇよ」

「~~~~…」

困惑したような真琴。

「何だよ、本当に部屋に虫湧いてると思ってるのか?」

「や、ちゃうねん!そんな事思ってへんよ?」

何だか指で綾取りしながら、真琴はおずおずと切り出す。

「あんな、黎児…実は…俺な…」

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