いいから私の婿になれ
はぁはぁと呼吸を乱す黎児。

「あらあら…ご主人様、こんなに汗を…」

黎児の額の汗を拭おうとするエリアルの手を。

「おいっ!」

彼はきつく跳ね除けた。

「エリアル、さっきお前何しようとした!」

「はい?」

何故そんなに怒っているのか。

理解しかねるといった表情でエリアルは答える。

「先程の者がご主人様に無礼な口を利きましたので…仕置きとして火炙りにしてしまおうと思い、火炎魔法を行使する事に致しました。ですが、ご主人様がお止めになられましたので…」

「……」

何を言っているのかわからない。

「魔法…?」

「はい」

またも可憐な笑顔を見せるエリアル。

「単体対象の火球を放つ魔法です。肉弾戦も魔法戦闘もこなせるようにと、ご主人様が私を育ててくれたではありませんか」

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