いいから私の婿になれ
恐る恐る、黎児はエリアルに訊ねる。

「その…エリアル…お前は、魔法が使えるのか?」

「はい。戦闘用の魔法など幾つか」

思わず笑ってしまう。

魔法だって?

この21世紀の世の中に、そんな非科学的なものが存在していいのか?

「本当に出来るってんならちょっと見せてくれよ」

「ここでですか?」

エリアルの言葉に黎児は頷く。

「そうですね…こんな狭い場所ではご主人様に被害が及んでしまいますので、ほんの少し真似事程度でよろしければ…」

そう言ってエリアルは、右手の平を上に向ける。

その掌の上に。

「まずは炎」

ボッ!と音を立てて。

拳大の火の玉が浮かび上がった。

薄暗い路地。

黎児の顔を照らし出すほどの赤い炎が燃え盛る。

エリアルはこれで、先程真琴の背中を撃とうとしたのだ。

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