いいから私の婿になれ
「いやいやいやいや!」

手を振りながら黎児は突っ込む。

「エリアルさ、年頃の娘さんな訳じゃない?嫁入り前の大事な体な訳よ。それが、今日知り合ったばかりの男の家に簡単に上がり込むのはどうかなーと思う訳」

「どうかなー…とは…?…エリアルにはわかりかねます」

小首を傾げるエリアル。

(そ、そこまで言わせるか…どんだけ天然だ、このメイド…)

脱力感を必死に堪えながら、黎児は根気よく説得を続ける。

「あのなエリアル、俺もお前も若いじゃない?色々と持て余す訳だよ」

「色々…ですか?」

「そう、色々。でね?そんな二人が一つ屋根の下で、晩御飯なんかご馳走になったりした後で、談笑しながらだんだんいい雰囲気になっちゃったりしたらだよ?」

何でこんな説明を、うら若きメイド娘にしているのだろう。

黎児は自分が恥ずかしくなってくる。

「何つーのかな…いわゆる、その、一夜の過ちなんてのも、あっちゃったりしたりなんか…」

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