いいから私の婿になれ
まぁとにかく、エリアルは食事を作ってくれるという。

一人暮らしで毎日碌な物を食べていない黎児としては有り難かったし、エリアルの唯我独尊ぶりはもう止められない。

下手に追い返そうとして騒ぎになるよりは、大人しく部屋に招き入れる方が得策と考えたのだ。

一旦エリアルと共に帰宅した黎児。

すると。

「ご主人様、まずは私、食材を調達して参ります」

部屋に入りもせずにエリアルが言う。

確かに黎児の部屋の冷蔵庫には、ジュースやペットボトルのミネラルウォーター程度しか入っていない。

夕食を作ってもらうにしても、材料は買わなければならなかった。

「じゃあ近所のスーパーまで一緒に…」

「いえ、ご主人様はここでゆっくりくつろいでいて下さいませ」

恭しく礼をするエリアル。

「しばしお待ち下さいませ。すぐに調達して参りますので」

そう言って、彼女は今来た道を引き返していった。

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