いいから私の婿になれ
それから30分ほど経過しただろうか。

「只今戻りました」

エリアルが黎児の部屋に帰ってくる。

手には大きな買い物袋が四つ。

意外とエリアルは腕力があるようだ。

しかもその袋の中身が凄い。

高級松坂牛、季節外れの国産松茸、烏骨鶏の卵…。

野菜類も買ってきてあるものの、殆どが高級食材ばかりだ。

「今夜は私とご主人様の初めての夜ですし、奮発してすき焼きにしようと思いまして」

外国人らしいエリアルから『すき焼き』という料理名が出たのもさる事ながら、その高級食材の入手方法もいささか気になる。

「え、エリアル…ちゃんと金は持ってたんだよな…?」

不安になって訊ねる黎児に。

「ええ…ご心配なく…」

エリアルは薄く笑って見せた。

「ちゃんと入手して参りましたわ…『悪魔で豪放的に』」

「『あくまで合法的に』じゃないんですね…エリアルさん…」

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