いいから私の婿になれ
入手経路の怪しい食材で作ったすき焼きでは喉を通りづらかったものの、何とか夕食も終了。

参考までに言うと、エリアルの料理は抜群に美味かった。

手際もいいし味付けも完璧、黎児が催促するより先におかわりするかどうか訊ねてくるほどの気配りも見せる。

一般常識さえあれば、エリアルは実に優秀なメイドといえるだろう。

「ではご主人様、私は失礼して食器の後片付けをさせて頂きます。お風呂を沸かしておきましたので、お先にどうぞ。後程伺いますので」

「は?」

食事が終わって落ち着かなくお茶を啜っていた黎児は、思わず噴き出しそうになる。

「う、伺う…?」

「はい」

華のように微笑むエリアル。

「お背中、流させていただきます」

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