いいから私の婿になれ
軽い立ち眩みがして、黎児はその場に崩れ落ちそうになる。

どこの世界にメイド同伴で登校する高校生がいるのか。

そんな奴は物語の中のボンボンくらいしか見た事がない。

「え、エリアル…お前は留守番していてくれ」

物は試しに言ってみるが。

「もしそれがご主人様の命令だとしても、こればかりはエリアルも譲れません」

案の定予想通りの返答が返って来た。

「男たるもの外に出れば七人の敵がいるといいます。そのような外敵からご主人様の身を守るのも私の務めでございます」

「いや、あのなエリアル」

「大丈夫でございます。魔法を使うなというご主人様のご命令は遵守致します。私、ご主人様に鍛えて頂いたお陰で魔法以外にも肉弾戦の方もいけますので」

「や、だからエリア…」

「さぁ参りましょう。何人であろうとも、私がご主人様には指一本触れさせません!」

…最早エリアルに、まともな意見を求めようという方が無理だった。

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