いいから私の婿になれ
学校に辿り着くまでに十分な罰ゲーム気分を味わったというのに、真の罰ゲーム気分はここから始まる。

何せ黎児が通っているのは男子校なのだ。

男しかいない学校に女連れで登校する黎児。

しかもその女がメイド姿ときている。

変態のレッテルを貼られる事請け合いだ。

大抵の事は面白がって、からかい半分でイジッてくる男子校の好奇心旺盛な生徒達。

しかし今回ばかりは、誰も黎児に声をかけてこない。

具体的に言うとドン引きである。

…時折ヒソヒソと声が聞こえる。

「おいたわしや…そこまでディープな世界に堕ちたか黎児…」

「最早彼を救う事は出来ん…黎児はオタクの暗黒面に魅入られてしまったのだ…」

「半径1メートル以内に近づくなよ。あの病は伝染するぞ」

完全に隔離患者扱いである。

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