いいから私の婿になれ
そんな中、果敢にも黎児に話しかけてくる勇者が一人存在した。

その人物は教室に入ってくるなり。

「れ、黎児…」

ドサリと手にした鞄を床に落とし、芝居がかったリアクションを見せる。

「お、お前…何メイド連れて来てんねん!ご乱心かっ?」

その人物…真琴は、教室の席に座って退廃的な雰囲気を醸し出している黎児に駆け寄った。

「あぁ…?…仕方ねぇだろ真琴…俺にエリアルは制御できん…」

『もう殺せ』と言わんばかりの表情で力なく笑う黎児。

「だからって学校にまで連れて来る事ないやろっ。うわ!痛っ!周囲の視線痛っ!」

突き刺さるような軽蔑の視線を感じ取り、真琴が声を上げる。

「お前よぅこんな空気の中で平気でおれるなっ、ドMか?真性か?」

「好きに言え…」

真琴の辛辣な発言にも反応する気力さえない。

机に突っ伏して、黎児はシクシクとむせび泣いた。

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