いいから私の婿になれ
しかし。

真琴の毒舌に黎児は反応しなくとも。

「お待ちなさい」

エリアルはそれを聞き逃さなかった。

「昨日から黙って聞いていれば、お前はご主人様に対して暴言の数々…何のつもりです?」

「な、何やねん…」

美貌を無表情に凍りつかせ、静かに、しかし強い口調で責めるエリアルに、気の強い真琴がたじろぐ。

「ご主人様は寛大なお方…お前のような下賎な者の言葉でも笑ってお許しになるでしょうが、私は容赦はしませんよ。さぁ、跪いてご主人様に謝罪しなさい、この『雌豚』」

「な…!」

絶句する真琴。

「おいエリアル、言いすぎだぞ」

思わず立ち上がってエリアルを制する黎児。

「それに何だよ『雌豚』って。真琴は男じゃねぇか」

「あら…ご主人様はお気づきになっておられなかったのですか?」

驚いたようにエリアルは目を丸くする。

「巫 真琴といいましたか…この者は安い変装などしてはいますが、れっきとした女です」

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