いいから私の婿になれ
しかし。

「待て、エリアル!」

黎児が真琴を庇うように割って入る。

「ご主人様?」

目を丸くするエリアル。

「黎児っ…」

驚く真琴。

黎児は真剣な表情でエリアルを見る。

「真琴が毒舌吐くのは、今に始まった事じゃないんだ。そんなに目くじら立てるほどの事でもないだろう」

「いえ、こういう事はきっちりしておきませんと、その雌豚に対して示しがつきません」

「その雌豚って言い方もやめろ。真琴ってきちんと呼んでやれ」

「そのような女、雌豚で十分でございます」

光のない瞳で、黎児の後ろに立つ真琴を射抜くように見るエリアル。

そんな彼女を。

「エリアル!」

黎児は一喝した。

「いい加減にしろよ。本当に怒るぞ?」

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