いいから私の婿になれ
エリアルが呆然とする。

叱られた。

ご主人様に叱られた。

私は正しい事を、ご主人様の為を思ってあの女を仕置きしてやろうと考えていたのに、逆に私が叱られた。

私はこんなに一生懸命なのに。

私はこんなにご主人様の事だけを想っているのに…。

そんなエリアルの前で、黎児は真琴の手を引く。

「ちょっ…どこ行くねん黎児っ」

「ここにいると何かと騒ぎが大きくなる。一旦場所を変えよう」

真琴を連れて教室を出て行く黎児。

「お、お待ち下さいご主人様!」

エリアルもついて行こうとするが。

「お前は来るな!」

黎児はエリアルをピシャリと制した。

「エリアルは俺の部屋に戻って大人しく留守番してろ。ご主人様命令だ」

そう言い残し、黎児は真琴と共に教室を去っていく。

「…………」

唯一人残されたエリアル。

その光のない瞳に、負の感情が燻り始めていた…。

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