いいから私の婿になれ
真琴と共に教室を出た黎児は、校舎の裏へと移動していた。

ここまで来れば他の人間の目を気にする必要もないだろう。

とりあえず。

「これ、着ろよ」

黎児は自分の制服のブレザーを脱いで真琴に渡す。

真琴の制服は胸元が破れてしまっている。

そんな格好で目の前に立っていられるのは、何というか…目の毒だ。

「お、おおきに…」

頬を赤らめたまま真琴はブレザーを受け取り、すぐに羽織った。

「それにしても…」

黎児は真琴を…主にその胸元をまじまじと見る。

「ほんとに女なのな、お前…」

「どこ見て言うてんねん」

じと目で真琴が睨んだ。

が、エリアルから助けてもらった恩を感じているのだろうか。

いつものような剣幕で怒鳴ったりしない。

「あんな…ウチ、ほんまはデビューしたての新人女優やねん…」

< 54 / 101 >

この作品をシェア

pagetop