いいから私の婿になれ
ピキピキと。

グラスに注がれた氷水のような音が聞こえる。

エリアルの手の中で、氷塊が温度を下げている音。

距離の離れた黎児達にさえ、その冷気が伝わってくる。

「雌豚、お前が抱かれるのは冷え切った氷の棺がお似合いです」

「止せ!エリ…」

黎児がエリアルの名を最後まで呼ぶよりも早く、エリアルはその氷の魔法を行使する!

ただ氷塊を投げつけるだけの魔法ではない。

氷塊が彼女の手から離れると同時に、周囲がひび割れるような音を立てて凍結していく!

その射線から咄嗟に飛び退く黎児と真琴。

突っ立っていれば、彼らもまたエリアルの氷の魔法によって氷漬けにされる所だった。

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