いいから私の婿になれ
エリアルの表情に、黎児達はゾクリとする。

完全に病んでいる。

黎児の事を想うあまり、彼に対する独占欲が強すぎるあまり、それ以外の事などまるで眼中にない。

黎児さえいれば、エリアルはその他の事など些末な事なのだ。

たとえ結果、誰かの命が失われたとしても…。

「そうですわ、簡単な事ですのに、何で気づかなかったんでしょう」

エリアルの放った火球が、黎児と真琴の至近距離で炸裂した!

「くぅっ!」

肌を焦がすような熱と爆風で、二人は竦んで逃げる事すらできない。

「お仕置きなどと生温い事を言わず、いっそ存在そのものを消し飛ばしてしまえばよかったのです…そうすればご主人様は、お前のような雌豚に現を抜かす事なく、私だけを見つめてくれる…」

二発目の火球を発生させ、エリアルは右手を真琴に向ける。

「そうしましょう…雌豚…後生ですから死んで下さいな…」

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