いいから私の婿になれ
黎児の背後で聞いている真琴は、何の事か理解できない。

「な、何やの黎児?何の話をしてるん?」

「自分で言っておいて信じられねぇよ、真琴…」

頬に汗すら浮かべて、黎児は真琴の顔を見た。

「あいつは…エリアルは、俺がやっているネットゲームの持ちキャラだ」

「は?」

真琴は自分の耳を疑う。

黎児とて言いながら信じられない。

だがエリアルの持っている知識、扱える魔法、身につけている装備。

それら全てが、黎児がネットゲームの中で操作している自分のキャラクターと合致する。

つまり黎児がこれまでプレイしていたあのネットゲームは現実に存在する『別の世界』であり、エリアルもまた、実在する自律型の魔動人形なのだ。

…唯一、黎児の操作するキャラクターの名前だけは『エリアル』という名ではない。

恐らくゲーム内の名と本名は違っていたのだろう。

その為、黎児はエリアルの正体になかなか気づく事ができなかったのだ。

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