いいから私の婿になれ
仲睦まじく手を取り合い、助け合うほどに親密になる黎児と真琴。

…陰を帯びた瞳で、エリアルはそれを見つめる。

気に入らない。

納得いかない。

ご主人様を好きになったのは、私の方が先なのだ。

ご主人様は、私だけを寵愛してくれていたのだ。

それを、あんな薄汚い女狐などに…!

「失望致しましたわ、ご主人様」

その表情は憎しみか、憤怒か、絶望か。

エリアルは遂にその矛先を、黎児にも向ける!

「主が間違った道に進むのを止めるのも、従者の務め!」

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