いいから私の婿になれ
真琴は驚いた表情で黎児を見つめていた。

あれ程の破壊力を持つ魔法を行使するエリアルに対し、ただのネトゲ廃人の黎児が優位に立っている。

いや、ネトゲ廃人だからこそ、ネットゲームの世界の住人であるエリアルに対して優位に立てるのかもしれない。

エリアルをゲームの中で育ててきた黎児は、いわばエリアルの親。

子供が親に勝てないのは道理だ。

「すごいやんか黎児!エリアルをいてこますなんて!」

「いや…」

真琴の元に戻ってきた黎児は、優勢にもかかわらず険しい表情をしていた。

「エリアルの魔法に対処しているだけだ。俺のタックルなんて、ゲーム内のダメージで言えば1程度の筈…エリアルの最大HPは982だからな…」

自分の持ちキャラの最大HPを空で言える辺りが、如何にもネトゲオタクだ。

だが黎児のその言い分が本当ならば、まだ何百回も攻撃しなければエリアルを倒す事はできない。

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