いいから私の婿になれ
ようやくその頃になって。

「どうした!何をやっている!」

騒ぎに気がついた教師達が現場にやって来る。

…彼らはさぞや驚いた事だろう。

二人の生徒と対峙するメイド。

しかもその手には巨大な斧を携えている。

周囲は地面が抉れ、校舎の一部が崩れ落ち、炎が燻り、凍結している箇所すらある。

一言で言うなら『戦場』。

平和な筈の学び舎が、殺し合い…いや、一方的な虐殺の場と化していたのだ。

「も、もうやめてぇな。先生達も来たやん。このままやったら、他の無関係の人も巻き込んでしまうでっ」

真琴が哀願するようにエリアルに言う。

涙目で、声を震わせて。

本来ならば油断を誘い、仏心を見せてしまいそうな仕草。

しかしエリアルには通用しない。

媚び、甘え、許しを乞う。

「その猫撫で声で、私のご主人様をも狂わせたのですね…!」

エリアルにとっては、真琴の表情も、挙動も、声も、視線も、何もかもが憎悪の対象だった。

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