いいから私の婿になれ
下段に戦斧を構えたエリアル。

彼女が走る事で、戦斧の刃の部分がアスファルトに接触し、道路が削り取られていく。

とてつもなく巨大な鉄の刃を細腕で握り締めたまま、軽やかとも言える足取りで走るエリアルの姿は、コスプレやメイド姿を見慣れているこの街の人々でも驚愕に値するものだった。

「道を開けなさい!立ちはだかれば無関係の者でも容赦なく叩き潰します!」

一応の警告をしながら走ってくるエリアル。

しかしその警告がなくとも、彼女の身に纏う殺伐とした雰囲気を感じ取れば、皆自然と道を譲るだろう。

それほどまでにエリアルは殺気に満ちていた。

前を行く黎児達にも、その殺気はひしひしと伝わってきて。

「お止まりなさいませ、ご主人様!」

エリアルの振り下ろした戦斧。

その威力によって地面のアスファルトが砕け散り、飛散した掌程度の大きさの破片が。

「うぐっ!」

黎児の背中に激突した!

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