いいから私の婿になれ
一瞬息が止まり、それまで走り続けていた黎児の膝が崩れるように地面に落ちる。

「れ、黎児!」

彼の体を支えるように、真琴がしがみついた。

「黎児!黎児!大丈夫っ?しっかりしてや、なぁっ!」

苦痛に顔を歪める黎児を心配そうに覗き込む真琴。

その背後に。

「お前がご主人様の心配をする必要はありません」

敵の首を刎ね飛ばす為だけに鍛えられた戦闘用の斧。

それを携えた美貌のメイドが歩み寄る。

「ご主人様のお世話は全て私が見ます。お前は雌豚らしく…」

エリアルの両腕が、ギロチンよろしく戦斧を真琴の首目掛けて振り下ろそうとする!

「屠殺されれば良いのです!」

これまでか。

ギュッと目を閉じる真琴。

だが。

「なっ!」

黎児が痛みを堪えて立ち上がり、エリアルの腰の辺りにしがみついた!

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