いいから私の婿になれ
「汚らわしい…汚らわしいです、ご主人様」

エリアルの瞳から涙が零れる。

「あの雌豚を抱いた手で、私を抱き締めないで下さいませ!」

振り下ろされた戦斧の放った衝撃は、アスファルトを砕き、その下の地面をも抉り、黎児を吹き飛ばす!

「うぐぁっ!」

硬い地面に叩きつけられ、悶絶する黎児。

そんな彼に一歩一歩近づいていくエリアル。

「ご主人様…あの雌豚より先に葬って差し上げましょう…そしてその首だけは、私が持ち帰らせて頂きます。そうすればずっと一緒…生涯私が、ご主人様の首を愛でて差し上げますわ…綺麗に化粧して、御髪も整えて、毎日語りかけますわ…」

「っっ…!」

ゾクリと。

黎児の背中に悪寒が走る。

完全に正常な思考から逸脱したエリアル。

彼女なら本当に実行しかねないとさえ思わせた。

故に。

「くっ…!」

痛む体に鞭打って、足を引き摺るようにして、それでも黎児は前へと進む。

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