いいから私の婿になれ
「真琴がどうしたって?生意気な口きいてハブられて校舎の裏で泣いてたか?」

「そんなんじゃねぇよ」

暑苦しい顔を更に寄せてくる友人。

口が臭い。

「真琴の奴、昨日本屋で立ち読みしてたんだけどさ」

「そりゃ友達いないんじゃ立ち読みくらいしか暇潰しできねぇだろ」

「何読んでたと思う?」

「エロ本か?」

「それならまだいいさ!真琴の奴、男性モデル専門誌読んでたんだぜ?」

「あぁ?」

半分閉じかけていた黎児の目が、パチリと開く。

思春期真っ盛りの男子校の生徒が、わざわざ本屋に行って読むのがイケメン満載の男性モデル専門誌?

「そりゃあアレか?真琴の奴、アブノーマルな方向に目覚めたって事か?」

確かに真琴は男としては可愛らしい部類の顔立ちだし、身長だって黎児よりも低い小柄な体格だが…。

「やべぇなオイ!俺の後ろの席に座ってんのはガチホモか!」

黎児はそんな事を大声でまくし立て。

「やかましいわコラ!」

登校したての噂の本人に踵落としを食らわされた。

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